2013年3月29日金曜日

1−10.法定外目的税「リフト税」の導入


1)法定外目的税導入にあたっての留意点
 法定外目的税は、地方行政の財源を安定確保するために課税自主権を行使して創設するもので、地方主権を確立する上で意義ある制度と言える。しかし、徴収対象が地域住民でなく来訪観光客であることから、導入理由や徴収する税の使途などについて説明と議論を尽くすことにより、町民や関係事業者の合意形成を図ることが必要だ。特に、使途については、負担した観光客を含む観光エリア全体が受益できるような、これまでとは異なる新たな政策的事業とする必要がある。また、負担する観光客が他地域の住民であることから、税負担の域外移転や特定の対象者を狙い撃ちにするような課税システムに極力ならないよう、公平性の観点からの配慮も必要だ。
※9:「地方団体における法定外目的税について」知原信良2002




2)東京都の宿泊目的税の導入を参考に
 東京都では、宿泊業を含む観光産業は裾野が広く多くの他産業に経済効果が波及するので、「宿泊税」を観光目的の法定外目的税とすることで、都民にも観光客にも還元できるとの理解を得た(平成14年)。その内容を含めて策定された「産業振興プラン」に対し都内の関係業界も理解を示したことから、制度導入への合意形成が前進した。宿泊税導入後は観光政策財源が増え、観光客も増加している。目的税としての具体的使途は、施設割引入場券、観光案内所の設置、バリアフリー化などとなっている。
※10:「宿泊税5年間の実績と今後のあり方」東京都2007、講演資料「観光振興と法定外目的税について」金振晩2009

3)ニセコエリアにおける法定外目的税「リフト税」の導入に向けて
 リフト税の場合、特別徴収義務者はスキー場のリフト会社となる。関係各社の合意が得られれば、リフト税の導入は実現に向けて前進すると思われる。しかし、リフト利用者に転嫁して徴収することになるので、両町町民の合意と観光客に対する納得いく説明が不可欠となる。リフト税の使途となる新たな観光政策として、たとえば、ニセコルールの安定強化に向けた財源、観光案内窓口の運営に向けた財源、ニセコ全域の循環交通網への財政支援など、ニセコのブランドイメージの向上に結びつき、観光客や住民にも支持される案が想定できる。
 
  
  
 

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